敦賀湾の夕景黄昏(たそがれ)の日本海

 北陸高速道を走り、福井に帰ってくると車窓の左手に見えてくるこの風景を見てホッと一息。日帰りでの出張ならこんな夕方の風景が定番となることが多い。いかにも福井の海の感じがするのは雲のせいでしょうか。

 敦賀半島が海に突き出ています。そうすると、この辺は杉津。パーキングがもうすぐ。杉津(すいず)には特別な思いがあります。5歳の頃だったのでしょうか、家族で海水浴に来た淡い記憶があります。今はもうないでしょうが、山の中腹に小さな駅があったと思います。D51?が煙を吐いて走っていたのでしょう。まるで絵本の中の光景。

 すごい傾斜の段々畑を降りていくときの気持ちは今でも忘れられません。両親に挟まれて家族だけでの海水浴はこれしか思いだせません。きっと嬉しかったんですね。何の花がいっぱい咲いていたのか、その時のすがすがしさと喜びは最大の宝物。ここが一番水がきれいだよ、と話す両親の声が耳に残っています。

 こんなことを思い出しながら書いていると、涙が出そうになってきます。最近のニュースなどで、総理が海外で感極まって涙を流したのはけしからんなどと、おかしな意見も聞きます。歴史的に男は泣いてはいけない、泣いてもいいのは親の死に目の時だけ・・・これは戦前の教育だそうです。逆に涙も流せない政治家を私は信用できません。古来日本人は情緒豊かであり涙は自然なものであったと聞いたことがあります。

 この敦賀半島の最先端には常神があって、確か大ソテツがありました。かわいそうにも思いましたが、魚の生き作りを始めて口にした場所です。またこの先には朝鮮半島、中国大陸が控えているのですね。その点、太平洋から見てそこに何かあるような気配を感じるわけです。

 くしくも偶然に太陽が半島の水もに映えて異常なまでの輝きを見せています。同じ太陽の火がここ半島に人々のいろんな思いを背負いながら燃えています。車窓より眺める日本海、神々しくも見える光景に感動しながら車を走らせます。杉津パーキングエリアはもうすぐ。

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